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人文書院
遍路と巡礼の民俗
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不況にもかかわらず、四国遍路には人気があり、体験記の出版や遍路ツアーも盛んとなっている。そして、一時廃れていた歩き遍路が、平成期に入って再び脚光を浴びている。現在の私たちは、遍路といえば、装束に手甲脚絆を付け、菅笠をかぶり、白衣や笈摺を着て金剛杖をついて歩く姿を思い浮かべる。しかし、もともとそれらは旅の装束や道具であり、白衣は死の装束、笈摺は荷を負う時に擦り切れるのを防ぐ半袖であった。
そうした巡礼、遍路の習俗はどのようにして生まれたのか。また、観音巡礼としての西国巡礼は、祖師巡礼としての四国遍路の習俗にどのような影響を与えたのか。両者の関連性を、遍路の旅に不可欠な案内記や地図・体験記など、豊富な資料を通して明らかにし、遍路の習俗に関する変容を考察する。さらに巻末に遍路に関する詳細な文献リストを付す。前著『遍路と巡礼の社会学』につづく労作研究。
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