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人文書院
だれが世界を翻訳するのか
だれが世界を翻訳するのか
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かつて声高に叫ばれた「文化翻訳」ではないが、いままた「翻訳」のメタファーが大流行である。人類学に限らず、人・物・情報の移動や越境に関わる社会学系の考察にせよ、国民国家システムの変容過程に関わる歴史学系の考察にせよ、もとはテクスト論的用語である「翻訳」の概念がある危うさを内包したまま近年再来しつつあるのは、もっぱらそれが主体=主体化の複雑な様態を理解する鍵概念として重宝がられているからである。しかしながら、このような発想の延長で標題のような問いを設定したところで、主体の位置を占める「だれ」を明かすのは思いのほか困難である。この困難のなかにこそ、アジア・アフリカの現実がある。言語学研究でいう言語翻訳から、人類学・歴史学・現代思想における文化翻訳、つまりベンヤミン的な喩としての翻訳論までを徹底検証する問題提起の書。
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