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人文書院
読書装置と知のメディア史
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社会において「読書」の意味と機能とは何か
明治から昭和戦前まで「読書」は、人々の知の伝達にどのような影響をもたらしたのか。また、読まないが知っているという「潜在的読書」の存在をどう理解するべきか。それは「書物-読む」という特権的な関係性を解除することで可能となる。書物をめぐる様々な行為と、これまで周縁化されてきた読書装置との関係を分析し、書物と人々の歴史に新たな視座を与える力作。
しばしば、ピケティの『21世紀の資本』は、マルクスの『資本論』になぞらえられた。その書名の対応関係だけでなく、二つの書物が資本主義における経済的な格差を取り扱っている点において、結び付られた。しかし、本研究においては、むしろ、『21世紀の資本』と『資本論』の関係は、読む/読まないの間に存在する、読んでいないが知っている、という関係において重要なのである。『21世紀の資本』においても、『資本論』においても、その社会的な影響力は、実際に読んだ人や発行された部数を遥かに超える範囲にまで波及した。こうした点こそが、書物と私たちの日常的な関係を、深く反映していると考えるからである。
(「序章」より)
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