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人文書院

「豊かさ」の農本主義

「豊かさ」の農本主義

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農がもたらす新しい価値とは?
戦前のファシズム思想の温床とみなされてきた「農本主義」をみなおし、戦後の農業の思想と実践を丹念に追いながら、新たに位置づける試み。ジェンダー思想、市民運動など多様な農業の姿と思想を明らかにする。

「戦時体制と結びついた出来事は、思想の表出実態の全体からみれば部分的な存在でしかなく、今日的な社会的課題を踏まえるならば、近代批判に基づく社会変革の構想という点で、肯定的に評価できる点も少なくないと思われるのである。 
そこで本書では、戦後の農的な思想を論じる際に、敢えて農本主義という概念を持ち出すことを試みる。いささか大胆にその理由を述べるならば、農の観点から繰り出される、近代社会への批判という視座が、近代から現代まで時代を超えた効力をもつのではないかと考えるからである。すなわち農本主義概念を、近代期の日本に限定される特殊事象としてではなく、時代性や場所性を問わない普遍的意義をもつ思想として捉え、これを戦後の事例と結び付けながら論じることが本書の目的ということになる。」
これは、農本主義概念のパラダイム転換を図る作業に他ならない。(序章より)
 第3回高島國男自遊賞受賞作。

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