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人文書院

「日本心霊学会」研究

「日本心霊学会」研究

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人文書院創立100周年記念出版

霊術団体はいかにして人文系出版社へと姿を変えたのか。
日本近代の宗教、学知、出版を総合的に捉え直す画期的研究。

日本心霊学会は民間の精神療法団体として明治末に京都で誕生した。機関紙『日本心霊』を発行し、主に呼吸法を用いて人間の精神を活性化させるという心霊治療の伝授を活動の軸とすることで、当時の心霊ブームにも乗り、仏教僧侶を中心に瞬く間に多数の会員を獲得、アカデミシャンをも巻き込みながら日本有数の団体へと急成長する。そして昭和初期、学会の活動を通して培ったネットワークをもとに出版業へと船出、人文書院と名を変える。その活動の遍歴は、霊術研究のみならず、日本近代の宗教と学知、出版を総合的に捉え直す視点をもたらす。2013年に発見された『日本心霊』全号によって可能になった画期的研究。折口信夫、西田直二郎の新発見資料を収録。口絵、年表、人名索引付。

「日本心霊学会=人文書院は、精神療法/仏教/新宗教/神道/民俗学/文学/哲学といった諸領域を横断しながら、アカデミズムと民間の知に股をかけ、心霊治療と出版という二つの媒体(メディア)――霊的=精神的な〈エネルギー/メッセージ〉の媒体――を軸にして一つの組織を維持してきた。こうした脱領域性と組織性という矛盾した特徴を兼ね備えることで、分野横断的な共振の相を一つの団体とその刊行物に折りたたんできたのである。日本心霊学会研究とは、そうした共振の相の変貌――振幅を伴ったある一つの精神史――を、単なる観念の共通性や思想の構造的類似を超えて、具体的な組織と運動に定位して探求する足場を組み立てることに他ならない。」(「はじめに」より)



執筆者

石原深予(いしはら みよ)
1975年生まれ。奈良女子大学、相愛大学等非常勤講師。日本近代文学。『尾崎翠の詩と病理』(ビイング・ネット・プレス)、『前川佐美雄編集『日本歌人』目次集(戦前期分)増補・修正版』(私家版)。

一柳廣孝(いちやなぎ ひろたか)
1959年生まれ。横浜国立大学教育学部教授。日本近現代文学・文化史。『〈こっくりさん〉と〈千里眼〉』(講談社)、『催眠術の日本近代』(青弓社)、『無意識という物語』(名古屋大学出版会)、『怪異の表象空間』(国書刊行会)。

菊地暁(きくち あきら)
1969年生まれ。京都大学人文科学研究所助教。民俗学。『柳田国男と民俗学の近代』(吉川弘文館)、『民俗学入門』(岩波新書)、『日本宗教史のキーワード』(共編著、慶應義塾大学出版会)。

神保町のオタ(じんぼうちょうのおた)
1959年生まれ。ブロガー。「神保町系オタオタ日記」(https://jyunku.hatenablog.com/)を運営。京都大学在籍時に吉永進一らとオカルト研究団体「近代ピラミッド協会」を結成。

平野直子(ひらの なおこ)
早稲田大学非常勤講師。宗教社会学。『宗教と社会のフロンティア』(共著、勁草書房)、『近現代日本の民間精神療法』(共著、国書刊行会)。

吉永進一(よしなが しんいち)
1957年生まれ。舞鶴工業高等専門学校人文科学部門教授、龍谷大学世界仏教文化研究センター客員研究員などを歴任。近代宗教史・秘教思想史。『神智学と仏教』(法藏館)、『近代仏教スタディーズ』(共編著、法藏館)、『近現代日本の民間精神療法』(共編著、国書刊行会)。2022年3月31日逝去。

渡勇輝(わたり ゆうき)
1987年生まれ。佛教大学大学院文学研究科歴史学専攻博士後期課程。日本近代思想史、神道史。「柳田国男の大正期神道論と神道談話会」(『佛教大学大学院紀要文学研究科篇』49)、「近代神道史のなかの「神道私見論争」」(『日本思想史学』52)。

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