人文書院
親密なる帝国
親密なる帝国
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日本と朝鮮、戦時下における文化「協力」
〈内鮮一体〉の掛け声のもと一度は手を取り合いながら、戦後には否認された数々の経験と記憶。忘れ去られたその歴史を掘り起こし、「協力vs抵抗」では捉えきれない朝鮮人作家たちの微細な情動に目を凝らす。日本と朝鮮半島に共有された植民地近代という複雑な体験がもたらす難問に挑み、ポストコロニアル研究に新たな光を当てる画期作。
「本書で論じられるのは、「韓国(朝鮮)と日本の近代史において親しく分有され、しかし否認されてきた植民地的過去と、アジア・太平洋地域において争われているその遺産の広範な意味」である。植民地末期に活躍した金史良(キムサリャン)、張赫宙(チャンヒョクチュ)、姜敬愛(カンギョンエ)ら植民地朝鮮出身作家とその作品は、日本帝国の崩壊後、日本では忘却もしくは周縁化され、韓国と北朝鮮では対日協力と抵抗の二分法的論理に基づいて分類・評価されてきた。クォンは、これらの作品が――植民地期からポストコロニアル期にかけて――生産/翻訳/消費されるプロセスを徹底して追跡することによって、記憶の抹消や固定的な二分法を乗り越え、コロニアルな近代経験が孕む難問(コナンドラム)を明るみに出していく。」(訳者あとがきより)
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共訳者
猪岡叶英(いのおか かなえ)
西宮市立郷土資料館学芸員。大阪大学大学院文学研究科博士後期課程在学中。論文に「在阪沖縄出身者による祖先祭祀の実践 家系図の作成と香炉(ウコール)継承を中心に」(『待兼山論叢』50号、2016年)など。
鎌倉祥太郎(かまくら しょうたろう)
大谷大学ほか非常勤講師。大阪大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。論文に「「メディア」になる、ということ 新日本文学会第十五回大会における津村喬の大会報告をめぐって」(『待兼山論叢』48号、2014年)など。
川村邦光(かわむら くにみつ)
文筆業。東北大学大学院文学研究科満期退学。2016年大阪大学大学院文学研究科退職。著書に『日本民俗文化学講義』(河出書房新社、2018年)など。
ファクンド・ガラシーノ(Facund Garasino)
国際協力機構緒方貞子平和開発研究所研究員。大阪大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。論文に"Japan's Last Colonial Frontier: Settler Migration, Development, and Expansionism in the Brazilian Amazon," Transpacific Visions: Connected Histories of the Pacific across North and South, Lexington Books, 2021.など。
黛友明(まゆずみ ともあき)
香川県立ミュージアム学芸員。大阪大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。論文に「芸能・共同体・関係性 伊勢大神楽の事例を通じて」(『大阪大学日本学報』第33号、2014年)など。
山口良太(やまぐち りょうた)
一般企業勤務。大阪大学大学院文学研究科博士前期課程修了。論文に「複製技術時代の霊」(『文化/批評』3号、2011年)など。
畑中小百合(はたなか さゆり)
大阪大学非常勤講師。大阪大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。「戦時下の農村と演劇 素人演劇と移動演劇」(『演劇学論集』47号、2008年)など。
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初版第1刷で以下の間違いがありました。お詫びいたします。
p.16 李延華→李廷華
p.59, 394 芹川哲也→哲世
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