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人文書院
幼年期の現象学
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子どもという存在を読み解く哲学
1949年秋、ソルボンヌ大学に着任したメルロ=ポンティは、発達心理学の知見を批判的に取り込み、子どもの現象学ともいうべき講義を開始した。ピアジェ、ワロン、リュケ、クライン、ラカンなど関連分野を広範に渉猟したその講義は、子どもという存在を哲学史上初めて主題としたきわめて貴重な試みであると同時に、人間科学をより豊かにする可能性を秘めたものであった。メルロ=ポンティの後期思想にも繋がる重要講義を仔細に読み解く。
「彼の議論は、教育現場にせよ家庭内にせよ、大人が、子どもにおける大人の萌芽(「先取り」)の不意の現出に深く注意を向けると同時に、みずからのなかに伏在する幼児性を意識することも強く要請しているのである。いまから六〇年以上も前の三年間ほどの『講義』に何らかの意義と価値があるとするなら、それはまさに以上の点にあるのではないだろうか。」(本書より)
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