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人文書院

ゾンビの小哲学

ゾンビの小哲学

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恐怖の哲学

われわれはなぜゾンビに魅了されるのか。なぜ彼らに襲われ、世界が崩壊するさまを何度も描き出してしまうのか。映画をはじめ多様なコンテンツに溢れるゾンビを、現代社会を生きる人々の欲望の徴候と捉え、カント、フロイト、アガンベン、ディディ=ユベルマン、クリステヴァなど豊富な思想的ツールを動員し、様々な切り口と角度から論じる、ゾンビを通した現代社会論の白眉。

 「ゾンビは、風変わりなガイドであった。そのゆっくりとした、引きずるような足取りや、徘徊やためらいについてゆくことからわれわれは、現代をめぐる複雑で多義的なイメージを受け取ってきた。その眼に映し出すことによって、また、そのメタファーを書き換えなおすことによってさえ、ゾンビはわれわれに、とりわけ陰鬱な、ほとんどたがのはずれた世界を提示するのである。ここから、ゾンビとは流行の影響を受けたものというよりも、時代の、その問いや疑いの影響を受けたものであることがわかる。そのとき、われわれにとって身近な映画におけるゾンビの存在は、別の意味を帯びるようになる。それはいまや、気晴らしから徴候になりうるのである。」(本書より)

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