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人文書院
悲しみについて
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1985年の春、その人は息子を失った。そして絶望の果てに、夢と記憶のあわいから、この「連作」を紡ぎはじめた。彼女は何を信じ、何に抗いつづけているのか。聞き届けられるべき、不滅の物語。
やわらかい光のなかで母の声が響く。
この世界には言葉が溢れてる。人はその言葉に身を浸すことで喪失の恐怖から逃れようとするけど、そこに身を浸している限り、決して聞くことのできない声というものがあるのよね。
青いテーブルクロス。白い皿。りんごの皮。
母の声はくっきりと、速度をあげて、途切れることなく、歌になる。
―石原燃「人の声、母の歌」より
長女で劇作家の石原燃さんによる解説「人の声、母の歌」を公開しました→★
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