枢軸

ファシズムのグローバルヒストリー

新たな社会的・文化的・地政学的秩序を構想した枢軸国。ファシズムの引力は、いかにして世界をかつてないほどの大規模戦争に引きずり込んだのか。従来の一国史、二国間関係史の枠組みでは捉えきれなかった、枢軸の形成・拡大と世界大戦に至るプロセスを鮮やかに描いた巨編。

ファシズムのグローバルな台頭――枢軸国によって生み出されたパーフェクト・ストーム――が、簡単に繰り返されることはないだろう。もちろん、そうなればこの物語は穏便な結末を迎えることになる。しかし、本書の執筆に時間を要した分だけ、このような判断の確実性も低下した。時間をかけて考察すればするほど、枢軸、そしてファシズムは、遠い過去のものではないように思われてきたからだ。これには二つの理由がある。一方では、ファシズムが決して国境に縛られるものでも、ヨーロッパに限定されるものでもない、実に普遍的かつグローバルな現象であったことが、執筆の過程で次第に明らかになってきた。だがそのようなものとして、そして、ファシズムは理論上、どこにでも繰り返し出現する可能性があり、そこでは自らの傲慢さにおけるささやかな始まりから、驚くべき災厄をもたらすのである。（「おわりに」より）

原著：Daniel Hedinger, Die Achse: Berlin-Rom-Tokio 1919-1946, Verlag C.H.Beck GmbH & Co. KG. 2021.