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人文書院
フランス論2.0
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なぜフランスは(それでも)強いのか?
複眼的アプローチにより「フランスらしさ」のゆくえをさぐる
本書ではまず第1章で「フランス人とはどんな人たちなのか」を問うことにしたい。「おフランス」イメージの多重なヴェールを一枚ずつめくりながら、私なりにフランス人の「実像」に迫ってみたい。 第2章ではフランス女性のフェミニズムについて考えてみた。彼女たちの性暴力にたいする怒りに着目し、そこからフランスの #Metoo 運動とアンチ #Metoo 運動、さらにはその二十年前の「女性によるポルノ」ブームへと視線を移して、「ひと味ちがう」フレンチ・フェミニズムのありかたを探った。 第3章では、まず二〇二四年のパリ・オリンピックとパラリンピックの開会式を振り返り、そこに見られる「多様なフランス」イメージを検証した。そして、その思想的基盤ともいうべき「自由」や「ライシテ」の思想に立ち返り、それらがいまなお秘めている可能性と今日出遭っている困難に論及した。それはフランス的「普遍主義」の可能性と困難でもある。それらを、二人のイラン出身女性作家の視点も交えながら、フランス十八世紀の啓蒙思想との響き合いのなかで考察した。 指針はここでもやはり「フランスらしさ」である。 先に二つの「国難」について語ったが、本書では折りにふれてフランスの政治的混迷に言及することになるだろう。近年のフランス政治を見るにつけても「受難の時代」という印象を拭えない。 それでもこの国は困難を乗り越え、前に進むのである。そこにはどんなメカニズムが働いているのか。私がフランスからもらう<元気>はどこから来るのか、なぜフランスは(いかに「傷」を負っても、内政がボロボロでも)それでも「強い」のか……。本書をつうじてこれらの問いに少しでも答えることができれば幸いである。本文より。
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